ケセラ瀬良なんです!〜23歳、先生はじめました〜
1. 異変 六月中旬。 三年二組の教室に入った時、空気が違った。 「...」 生徒たちが、ひそひそ話してる。 チラチラと、誰かを見てる。 視線の先は、佐藤さん。 一人で、俯いてる。 「じゃあ、授業を始めます」 いつも通り、授業を進めた。 でも、気になる。 …
1. 梅雨入り 六月。 梅雨入りした。 毎日、雨。 じめじめして、気分も沈みがち。 「今日も雨か...」 傘を差して、学校に向かう。 水たまりを避けながら歩く。 学校に着くと、生徒たちも濡れてた。 「おはようございます、サラ先生」 「おはよう。濡れなかっ…
1. 五月の終わり 五月が終わろうとしてる。 教師になって、二ヶ月。 少しずつ、慣れてきた。 授業も、生徒との関係も。 「瀬良先生、おはようございます!」 「おはよう」 毎朝、生徒たちが声をかけてくれる。 嬉しいな。 職員室に入ると、山田先生がいた。 …
1. 修学旅行明け 修学旅行から帰ってきた。 楽しかったな。 生徒たちとの距離が、ぐっと縮まった気がする。 「サラ先生、おはようございます!」 「おはよう」 廊下で会う生徒たちが、前より親しげに話しかけてくれる。 修学旅行の効果かな。 職員室に入ると…
1. 出発の朝 修学旅行当日。 朝五時半に起きた。 集合は七時。 遅刻するわけにはいかない。 「忘れ物、ない...よね」 しおり、カメラ、着替え、薬。 何度も確認した。 学校に着くと、もう生徒たちが集まってた。 テンション高い。 まだ朝なのに、元気だな。 …
1. 五月の風 五月。 ゴールデンウィークが終わった。 学校に活気が戻ってきた。 生徒たちが日焼けしてる。 旅行に行った子、部活に明け暮れた子、色々。 「瀬良先生、おはようございます!」 「おはよう」 廊下を歩くと、あちこちから声がかかる。 一ヶ月前…
1. 授業参観の朝 四月の終わり。 初めての授業参観日。 朝から、ソワソワしてる。 保護者が見てる前で、授業をする。 考えただけで、緊張する。 「大丈夫かな...」 職員室で、準備をしていた。 「瀬良先生、緊張してる?」 山田先生が声をかけてきた。 「は…
1. 新人研修の朝 土曜日。 新人研修の日だった。 区の教育センターに、今年採用された新人教師が集まる。 私以外にも、何人もいるらしい。 「緊張する...」 バスの中で、小さく呟いた。 同期の先生たち、どんな人だろう。 私みたいに不安な人、いるかな。 そ…
1. サラ先生の朝 「サラ先生!」 廊下を歩いていたら、生徒たちに呼ばれた。 「おはようございます、サラ先生!」 「おはよう...」 サラ先生。 すっかり定着してしまった。 「先生、今日も授業楽しみです!」 「ありがとう」 「先生の英語、カッコいいですよ…
1. 心臓バクバク 初めての授業の日。 朝から、心臓がバクバクしてる。 鏡の前で、何度も身だしなみを確認した。 スーツ、OK。 髪型、OK。 でも、心の準備は全然OK じゃない。 「大丈夫、大丈夫...」 自分に言い聞かせながら、学校に向かった。 職員室に着く…
1. 桜の校門 四月。 桜が満開だった。 新しいスーツに身を包んで、校門をくぐる。 心臓がバクバクしてる。 大丈夫かな。 私、ちゃんとやれるかな。 「瀬良美咲、二十三歳。今日から、ここで働くんだ」 自分に言い聞かせる。 深呼吸。 職員室に向かう廊下。 …
『ケセラ瀬良なんです!〜23歳、先生はじめました〜』 四月。桜が満開の校門をくぐった瞬間、私の教師人生が始まった——。 シアトル育ちの新人英語教師・瀬良美咲、23歳。 生徒より小さい身長。中学生に間違われる童顔。 でも、伝えたいことがある。 「良い高…
三月二十五日、水曜日。 田中誠一が出版社に入ったのは、バブルが弾ける少し前のことだった。以来、本を作り続けてきた。装丁の手触り、紙の匂い、校正刷りの朱字——それが誠一にとっての「仕事」だった。 来月から、管理部門への異動が決まっている。 年齢的…
三月十八日、水曜日。 松本颯太の机の引き出しには、進路調査票がまだ入っていた。記入期限は今週の金曜日。クラスの半分はもう提出したらしい。 隣の席の奥田は「東京の大学」と言った。窓際の西島は「公務員試験」と言った。みんなすでに答えを持っている…
三月十一日、水曜日。 午後七時を過ぎたオフィスで、芹沢明日香はまだ画面を見つめていた。 「企画書(修正版・第三稿)」というファイル名が、今日三度目の会議での言葉を思い出させる。「コンセプトが弱い」「もう一回考えてきて」——上司の言葉は短かった…
四月の交差点 通勤電車の窓に、桜が流れていく。 スマートフォンの画面には、読みかけの小説。でも、今日はなぜか文字が頭に入ってこない。 隣に立つサラリーマンも、向かいに座るOLも、みんな同じ顔をしている。 疲れていて、急いでいて、どこか空っぽな顔…