YMO世代の気持ち -ノベル館-

YMO世代の気持ちのサブブログです。

ケセラ瀬良なんです!〜23歳、先生はじめました〜

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第14話「明けない夜はない」

1. 六月の終わり 六月が終わろうとしてる。 梅雨も、そろそろ明けそう。 空に、入道雲が見え始めた。 「暑くなってきたね」 「もうすぐ七月ですもんね」 「期末テスト、やばい」 生徒たちが、夏の話をしてる。 佐藤さんも、教室にいる。 まだ少し元気がない…

第15話「備えあれば憂いなし」

1. 期末テスト週間 七月に入った。 期末テストが近づいてきた。 教室の空気が、少し変わった。 いつもは賑やかな生徒たちが、ちょっと静かになってる。 「やばい、全然勉強してない」 「俺も。どうしよう」 「一夜漬けするしかないか...」 焦ってる声が聞こ…

第1話「一期一会」

1. 桜の校門 四月。 桜が満開だった。 新しいスーツに身を包んで、校門をくぐる。 心臓がバクバクしてる。 大丈夫かな。 私、ちゃんとやれるかな。 「瀬良美咲、二十三歳。今日から、ここで働くんだ」 自分に言い聞かせる。 深呼吸。 職員室に向かう廊下。 …

第7話「同じ釜の飯を食う」

1. 出発の朝 修学旅行当日。 朝五時半に起きた。 集合は七時。 遅刻するわけにはいかない。 「忘れ物、ない...よね」 しおり、カメラ、着替え、薬。 何度も確認した。 学校に着くと、もう生徒たちが集まってた。 テンション高い。 まだ朝なのに、元気だな。 …

第19話「蒔かぬ種は生えぬ」

1. 夏休み初日 夏休みが始まった。 朝、ゆっくり起きた。 いつもより二時間遅い。 「なんか、変な感じ」 学校に行かなくていい朝。 嬉しいような、物足りないような。 窓を開けると、夏の日差しが眩しい。 セミの声が聞こえる。 さて、今日は何をしようかな…

第20話「若い時の苦労は買ってでもせよ」

1. 夏の部活 八月上旬。 夏休みも、もう二週間が過ぎた。 今日も暑い。 朝から三十度を超えてる。 「暑い...」 学校に向かいながら、汗を拭いた。 夏休み中も、部活指導で学校に来ることがある。 今日は、バスケ部の練習試合の引率だ。 英語部の顧問だけど、…

第22話「初心忘るべからず」

1. 帰省 お盆休み。 実家に帰省した。 電車を乗り継いで、三時間。 久しぶりの実家。 「ただいま」 「おかえり、美咲」 お母さんが、玄関で迎えてくれた。 「元気そうね」 「うん。元気だよ」 「ちゃんと食べてる?」 「食べてるよ」 お母さんの心配性は、相…

水曜日を待つ人たち -第1話「立ち止まる理由」-

三月十一日、水曜日。 午後七時を過ぎたオフィスで、芹沢明日香はまだ画面を見つめていた。 「企画書(修正版・第三稿)」というファイル名が、今日三度目の会議での言葉を思い出させる。「コンセプトが弱い」「もう一回考えてきて」——上司の言葉は短かった…

ケセラ瀬良なんです!〜23歳、先生はじめました〜

『ケセラ瀬良なんです!〜23歳、先生はじめました〜』 四月。桜が満開の校門をくぐった瞬間、私の教師人生が始まった——。 シアトル育ちの新人英語教師・瀬良美咲、23歳。 生徒より小さい身長。中学生に間違われる童顔。 でも、伝えたいことがある。 「良い高…

第24話「心機一転」

1. 二学期始業式 九月一日。 二学期が始まった。 体育館に、全校生徒が集まってる。 夏休みを終えた生徒たちは、少し大人びて見える。 「二学期の始まりです」 大村校長の挨拶。 「夏休み、みなさん元気に過ごせましたか。二学期は行事がたくさんあります。…

第23話「去る者は日々に疎し」

1. 夏休み最終週 八月下旬。 夏休みも、あと一週間で終わり。 学校に行くと、ちらほら生徒の姿がある。 部活や、宿題の相談で来てる子たち。 「おはようございます、サラ先生!」 「おはよう。宿題終わった?」 「全然終わってないです...」 やっぱり、そう…

第21話「袖振り合うも他生の縁」

1. おばちゃんの誘い 八月中旬。 商店街を歩いてたら、やおふくのおばちゃんに呼び止められた。 「先生、ちょっといい?」 「はい、何ですか?」 「子ども食堂、行ったことある?」 「この前、外から見ました」 「中には入った?」 「いえ、まだ...」 おばち…

第18話「終わり良ければ全て良し」

1. 終業式 七月二十日。 一学期の終業式。 体育館に、全校生徒が集まってる。 暑い。扇風機が回ってるけど、あまり涼しくない。 「これにて、一学期を終了します」 大村校長の挨拶が終わった。 「夏休み、事故のないように。二学期、元気に会いましょう」 生…

第17話「一念天に通ず」

1. 七夕の準備 七月七日。 学校に、七夕の飾りが並んだ。 「先生、短冊書いてください!」 生徒たちが、色とりどりの短冊を持ってきた。 「いいよ。何色にしようかな」 「先生は、ピンクがいいと思います!」 「じゃあ、ピンクで」 短冊を受け取った。 教室…

第16話「能ある鷹は爪を隠す」

1. 成績発表 期末テストの結果が出た。 教室で、答案用紙を返却する。 「では、返しますね」 一人一人の名前を呼んで、答案を渡していく。 嬉しそうな顔、悔しそうな顔、いろんな表情がある。 「難波くん」 「はい」 蓮くんに答案を渡した。 92点。クラスで…

第13話「情けは人の為ならず」

1. 蓮くんの通い 蓮くんが、二日に一度くらい、佐藤さんの家を訪ねてくれている。 プリントを届けるという名目で。 でも、本当は話を聞きに行ってるんだと思う。 「先生、佐藤、少しずつ元気になってきてます」 「本当?」 「はい。最初は顔も見せてくれなか…

第12話「傷口に塩」

1. 不登校 佐藤さんが、学校に来なくなった。 一日、二日、三日。 欠席が続いてる。 「佐藤さん、今日も休みか...」 三年二組の教室で、空席を見つめた。 蓮くんが近づいてきた。 「先生、佐藤に連絡しましたか」 「うん。でも、返事がなくて」 「そうですか…

第11話「口は禍の元」

1. 異変 六月中旬。 三年二組の教室に入った時、空気が違った。 「...」 生徒たちが、ひそひそ話してる。 チラチラと、誰かを見てる。 視線の先は、佐藤さん。 一人で、俯いてる。 「じゃあ、授業を始めます」 いつも通り、授業を進めた。 でも、気になる。 …

第10話「雨だれ石を穿つ」

1. 梅雨入り 六月。 梅雨入りした。 毎日、雨。 じめじめして、気分も沈みがち。 「今日も雨か...」 傘を差して、学校に向かう。 水たまりを避けながら歩く。 学校に着くと、生徒たちも濡れてた。 「おはようございます、サラ先生」 「おはよう。濡れなかっ…

第9話「良薬は口に苦し」

1. 五月の終わり 五月が終わろうとしてる。 教師になって、二ヶ月。 少しずつ、慣れてきた。 授業も、生徒との関係も。 「瀬良先生、おはようございます!」 「おはよう」 毎朝、生徒たちが声をかけてくれる。 嬉しいな。 職員室に入ると、山田先生がいた。 …

第8話「雨降って地固まる」

1. 修学旅行明け 修学旅行から帰ってきた。 楽しかったな。 生徒たちとの距離が、ぐっと縮まった気がする。 「サラ先生、おはようございます!」 「おはよう」 廊下で会う生徒たちが、前より親しげに話しかけてくれる。 修学旅行の効果かな。 職員室に入ると…

第6話「下手の横好き」

1. 五月の風 五月。 ゴールデンウィークが終わった。 学校に活気が戻ってきた。 生徒たちが日焼けしてる。 旅行に行った子、部活に明け暮れた子、色々。 「瀬良先生、おはようございます!」 「おはよう」 廊下を歩くと、あちこちから声がかかる。 一ヶ月前…

第5話「親の心子知らず」

1. 授業参観の朝 四月の終わり。 初めての授業参観日。 朝から、ソワソワしてる。 保護者が見てる前で、授業をする。 考えただけで、緊張する。 「大丈夫かな...」 職員室で、準備をしていた。 「瀬良先生、緊張してる?」 山田先生が声をかけてきた。 「は…

第4話「習うより慣れろ」

1. 新人研修の朝 土曜日。 新人研修の日だった。 区の教育センターに、今年採用された新人教師が集まる。 私以外にも、何人もいるらしい。 「緊張する...」 バスの中で、小さく呟いた。 同期の先生たち、どんな人だろう。 私みたいに不安な人、いるかな。 そ…

第3話「郷に入っては郷に従え」

1. サラ先生の朝 「サラ先生!」 廊下を歩いていたら、生徒たちに呼ばれた。 「おはようございます、サラ先生!」 「おはよう...」 サラ先生。 すっかり定着してしまった。 「先生、今日も授業楽しみです!」 「ありがとう」 「先生の英語、カッコいいですよ…

第2話「千里の道も一歩から」

1. 心臓バクバク 初めての授業の日。 朝から、心臓がバクバクしてる。 鏡の前で、何度も身だしなみを確認した。 スーツ、OK。 髪型、OK。 でも、心の準備は全然OK じゃない。 「大丈夫、大丈夫...」 自分に言い聞かせながら、学校に向かった。 職員室に着く…

水曜日を待つ人たち -第3話「物語の届く場所」-

三月二十五日、水曜日。 田中誠一が出版社に入ったのは、バブルが弾ける少し前のことだった。以来、本を作り続けてきた。装丁の手触り、紙の匂い、校正刷りの朱字——それが誠一にとっての「仕事」だった。 来月から、管理部門への異動が決まっている。 年齢的…

水曜日を待つ人たち -第2話「道の分かれ目」-

三月十八日、水曜日。 松本颯太の机の引き出しには、進路調査票がまだ入っていた。記入期限は今週の金曜日。クラスの半分はもう提出したらしい。 隣の席の奥田は「東京の大学」と言った。窓際の西島は「公務員試験」と言った。みんなすでに答えを持っている…

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四月の交差点 通勤電車の窓に、桜が流れていく。 スマートフォンの画面には、読みかけの小説。でも、今日はなぜか文字が頭に入ってこない。 隣に立つサラリーマンも、向かいに座るOLも、みんな同じ顔をしている。 疲れていて、急いでいて、どこか空っぽな顔…