YMO世代の気持ち -ノベル館-

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ブログ宣伝用プロモーション小説

四月の交差点

通勤電車の窓に、桜が流れていく。

スマートフォンの画面には、読みかけの小説。でも、今日はなぜか文字が頭に入ってこない。 隣に立つサラリーマンも、向かいに座るOLも、みんな同じ顔をしている。 疲れていて、急いでいて、どこか空っぽな顔。

——私も、きっと同じ顔をしている。

電車が駅に滑り込む。ドアが開く。人の波に押されるように、私はホームに吐き出された。 改札を抜け、交差点に立つ。

信号は、赤。

周りの人たちは、青になる瞬間を待ち構えるように前のめりになっている。 一秒でも早く渡りたい。一歩でも先に進みたい。 そうしないと、置いていかれてしまうから。

——本当に?

ふと、そんな疑問が浮かんだ。

私はいつから、こんなに急ぐようになったんだろう。 毎日同じ時間に起きて、同じ電車に乗って、同じ道を歩いて。 「効率的に」「生産的に」「前向きに」 そう言い聞かせながら、本当は何かから逃げているだけなのかもしれない。

信号が青に変わる。

人々が一斉に歩き出す中、私はなぜか、その場に立ち止まっていた。


その夜、私は偶然ひとつのブログを見つけた。

『水曜日の朝、信号が青になるまで』

タイトルに惹かれて開いたそのページには、こんな言葉があった。

「立ち止まることは、臆病じゃない。それは、進むための準備なんだ」

主人公の名前は、湊。 傾いた図書室で働く、社会からちょっとだけ「ズレた」青年。 彼のもとに現れるのは、赤いヒールを履いた透子という女性。

効率と合理性を信じる彼女と、立ち止まったままの彼。 正反対のふたりが、傾いた場所で出会う。

毎朝六時に更新される、三六五日の物語。 一話一話は短いけれど、読み進めるうちに登場人物たちの「選択」が見えてくる。

私は気づけば、夜更かしをして何話も読み進めていた。


翌週、同じブログでもうひとつの物語を見つけた。

『ケセラ瀬良なんです!~二三歳、先生はじめました~』

シアトル育ちの新人英語教師・瀬良美咲。 身長は生徒より小さくて、顔は中学生に間違われる。 でも、彼女には伝えたいことがあった。

「良い高校、良い大学だけが正解じゃない。道は、一つじゃないんだ」

厳格な先輩教師。影を抱えた生徒。天才なのに昼寝ばかりの少年。 SNSいじめ、貧困、家庭の問題——令和の学校が抱えるリアルと向き合いながら、彼女は走り続ける。

悩んで、泣いて、失敗して。 それでも——ケセラセラ。なるようになる。

週に一度の更新を、私は待ちわびるようになった。


交差点の信号が、赤になる。

今日の私は、もう焦らない。

湊が教えてくれた。立ち止まる時間は、無駄じゃないって。 美咲先生が見せてくれた。失敗しても、笑って前を向けるって。

信号が青に変わるまでの数十秒。 私はポケットからスマートフォンを取り出して、ブログを開く。

今日も、物語が待っている。 毎朝六時、三六五日欠かさず届く日常と、週に一度の笑いと涙と。

二〇二六年四月一日——水曜日。

あの日から始まる、ふたつの物語。 あなたも、一緒に歩いてみませんか。

信号が青になるまで、ゆっくりと。


二〇二六年四月一日 開幕

『水曜日の朝、信号が青になるまで』——毎朝六時更新・全三六五話
『ケセラ瀬良なんです!』——毎週連載