YMO世代の気持ち -ノベル館-

YMO世代の気持ちのサブブログです。

第115話:金曜日は、冷たい汁で生き返る

金曜日。緊張の糸が張り詰めたままの一週間が終わり、どっと疲れが出た。
 食欲も落ち、固形物を喉に通すのが億劫に感じる。
 そんな僕を見て、透子が「今日は宮崎の知恵を借りましょう」と言って、すり鉢を取り出した。

 今夜のメニューは『冷や汁(ひやじる)』だ。
 焼いたアジの干物をほぐし、味噌と一緒にすり鉢でする。そこに香ばしく炒った胡麻を加え、さらにすり合わせる。
 ゴリゴリ、という音が、昂った神経を鎮めていくようだ。

「この『焼いた味噌』の香りが大事なの」
 透子がその味噌玉を、冷たい出汁で溶き伸ばしていく。
 具材は、薄切りのきゅうり、手でちぎった豆腐、そしてたっぷりの大葉と茗荷。
 それを、熱々の麦飯の上に豪快にかける。

「……はあ。生き返る」
 一口すすると、焼いた魚と味噌の香ばしさが口いっぱいに広がり、冷たい出汁が火照った体を内側から冷やしてくれる。
 きゅうりのポリポリとした食感が小気味いい。
「サラサラいけちゃうね。これなら、いくらでも食べられそうだ」
「でしょ? 暑い国の知恵は凄いのよ。……さあ、しっかり食べて。来週は向こうもしびれを切らして動き出すはずだから」

 冷たくて、でも滋味深い一杯。
 それは、長期戦を覚悟した僕たちへの、一番のエールだった。
 信号は青。
 焦らず、腐らず、しっかりと大地を踏みしめていこう。


湊の金曜レシピ:食欲がない日の救世主「サバ缶で手軽に!冷や汁」

本来はアジの干物を焼いてほぐしますが、今回は手軽にサバ缶(水煮)を使って、火を使わずに作れるアレンジ版です。
栄養満点で、夏の休日のランチにもぴったり。

【材料】(2人分) * サバの水煮缶 … 1缶(汁気は切るが、少し残しておく) * 木綿豆腐 … 1/2丁(水切りして手で崩す) * きゅうり … 1本(薄い輪切りにし、塩もみして水気を絞る) * 味噌 … 大さじ2〜3(お好みで調整) * すりごま(白) … 大さじ3 * だし汁(冷やしたもの) … 400ml(顆粒だしを水で溶いたものでOK) * 薬味(大葉、茗荷、ネギ、生姜など) … たっぷり * ご飯(あれば麦飯) … 茶碗2杯分

【作り方】 1. ボウル(あればすり鉢)に味噌とすりごまを入れ、サバ缶の身を加えて、フォークやスリコギで潰しながら混ぜ合わせる。
* ★こだわりポイント:時間があれば、アルミホイルに味噌を薄く塗ってトースターで少し焦げ目がつくまで焼くと、香ばしさが段違いになります。 2. 1に冷たいだし汁を少しずつ加え、味噌を溶かしながら伸ばしていく。 3. 水切りした豆腐を手でちぎって加え、塩もみしたきゅうりも投入する。 4. 冷蔵庫でキンキンに冷やす(時間がない場合は氷を入れてもOKだが、味が薄まるので味噌を足す)。 5. 熱々のご飯にたっぷりと汁をかけ、刻んだ薬味を山盛りに乗せて完成。

【湊のひと言】 「冷たい汁と熱いご飯の温度差が、この料理の美味しさの秘訣です。薬味は遠慮せずたっぷりと。食欲がない日でも、サラサラと喉を通る一杯です」