月曜日。
敵の反撃は、ドローンよりも遥かに大規模で、鮮やかな形で行われた。
朝、駅前の巨大な広告スペースに、新しい看板が設置されていたのだ。
『未来と自然が共生する街。セーフティ・グリーン・プロジェクト始動』
美しいCGパース図には、緑豊かな公園と、最新鋭の耐震構造を誇るタワーマンションが描かれている。
そして、端の方に小さく、しかし目立つ文字でこう書かれていた。
『最新の地盤改良技術により、百年の安心をお約束します』
「……やられたわね」
透子がその看板を見上げ、悔しそうに唇を噛む。
「これは『グリーンウォッシュ』よ。環境への配慮や安全性を過剰にアピールすることで、負のイメージを塗り潰す手法。私たちのネガティブキャンペーンを、圧倒的な『綺麗な嘘』で上書きしに来たわ」
通勤客たちが、その煌びやかな未来図に見入っている。
「へえ、最新技術なんだ」「やっぱり安心ね」という声が漏れ聞こえる。
僕たちの撒いたビラ(真実)は、この巨大で美しい看板(虚構)の前では、あまりに色あせて見えた。
「……湊くん、悠長に構えている時間はなくなったかも」
透子の目が、戦士の色に戻る。
「相手がここまで『安心』を売りにするなら、私たちはその看板の裏側にある『腐った土台』を見せるしかない。……例のカード、切る準備をして」